2歳馬勝ち上がり評価 リバティアイランド

2022-07-30 新馬 新潟5R芝1600m
1着リバティアイランド
 
勝ち馬の最速公式上がり600mと言えば、オールドファンになじみ深いのは1993年東京芝1800m戦立冬特別でブランドイメージがマークした32.8。そして直線芝1000m戦が施行できる現新潟競馬場が2001年にオープンしてからはメジロダーリングの31.7を始めとして直線芝1000m戦組が公式上がり600mの上位を独占。そんな中、直線芝1000m戦以外の施行距離では2008年新潟大賞典でのオースミグラスワンの31.9は度肝を抜かれた値であった。以降リバティアイランドが新馬戦を勝つ日まで、直線芝1000m戦を除くと公式上がり600mで33.0を切った勝ち馬は延べ281頭。最速31.9を筆頭に当然のごとく0.1秒単位で各馬がひしめく状態。
 
ところがリバティアイランドは、一気に0.5秒も更新する31.4(DERBY ROOM値31.42)をマーク。馬場が速い、そして追い風の恩恵があったとしても、この更新幅は異次元である。その異次元ぶりをより細かい単位でも説明していこう

2016年以降のラスト200mトップ3
2017-10-15【10.41】オハナ 東京芝1600m 新馬
2019-04-21【10.53】ケイアイノーテック 京都芝1600m マイラーズC
2018-11-03【10.54】アウィルアウェイ 東京芝1400m 京王杯2歳S
 
リバティアイランドのラスト200mは【10.39】。オハナがマークしたラップを0.02秒更新したのに過ぎないが、オハナの上がり600mの内訳は12.41-10.81-10.41。一方リバティアイランドは10.81-10.21-10.39。ラスト200mで減速ラップとなったのにこれである。
 
2016年以降のラスト400mトップ3
2022-05-22【20.94】10.36-10.58 ルッジェーロ 新潟芝直線1000m 韋駄天S
2019-04-21【20.96】10.39-10.56 ストーミーシー 京都芝1600m マイラーズC
2019-04-21【21.00】10.48-10.53 ケイアイノーテック 京都芝1600m マイラーズC
※200m毎のラップは1000分の1秒単位を丸めているため合算値に0.01秒の差異が出ています。
 
リバティアイランドのラスト400mは【20.60】。400mスパンで見ると異次元ぶりが目立つ結果。瞬間的に速いというレベルではないのがよくわかることだろう。
 
次に走りの質を考える上で、2019年新潟2歳Sを勝ったウーマンズハートの新馬戦と比較してみよう。
 
リバティアイランド
走破タイム:1:35.81
前後半:51.90-43.91
13.78-12.15-12.86-13.11-12.50-10.81-10.21-10.39
 
ウーマンズハート
走破タイム:1:36.26
前後半:51.94-44.32
13.45-12.23-13.01-13.25-12.28-10.89-10.34-10.81


リバティアイランドの新馬戦時の方が馬場は速い状態で、走破タイムから導き出せる指数レンジはほぼ同等。よって2頭の相対的な位置取りはウーマンズハートの方が前に位置する形。ただ、完歩ピッチの推移からすると前半はリバティアイランドのピッチが速く、後半はウーマンズハートがグンとピッチを上げている形。この2頭だけの比較論ならリバティアイランドが持続型、ウーマンズハートが瞬発力型という分類となる。
 
リバティアイランドはラスト500m辺りで進路を外に求めたためラストスパート時の踏み込みが若干遅れ気味ではあるものの、スパートのピーク時はともにラスト400~300m区間で概ね似たタイミングでの全開スパート。ところがこの2頭、大きく異なっているポイントが平均ストライド長の推移。ウーマンズハートもかなり速いラップを刻んだだけあってストライドが良く伸びているが、ゴールに近づくにつれグングン伸びているリバティアイランドのストライドは驚異的。ラスト400~200m区間の平均ストライド長は8.04m。ラスト200mは8.21mとさらにストライドを伸ばし24.36完歩で走破。速いラップの値ばかり目に付いてしまうが、リバティアイランドの末脚は骨太さたっぷりの、文字通り豪脚そのものという印象である。
 
通常の成長曲線、即ち追走力が順当にUPしていけば極めて高レンジのパフォーマンスを発揮できる競走馬となり得る可能性が大いに感じられる逸材。無事にレースキャリアを積んでいくことを熱望してやまない。
 
出資者のみなさま。新馬勝ち、おめでとうございます。
 
※勝ち上がり時点でのMahmoud評価
★推定適正距離:1600~2400m
★評価ランク:SS(マルチG1級)

ABOUT ME

Mahmoud
ラップ・完歩ピッチ研究家。競走馬走行システム研究所(うまけん)所長。 競馬に限らず、スキージャンプや陸上など、様々なスポーツに対して造詣が深い。 持っているのはギターに見せかけた犬。